レアメタルとレアアースは非常に混同されやすいようですので、両者の違いをわかりやすくまとめてみました。
■レアメタル■
レアメタルは、日本語では「希少金属」と訳され、非鉄金属のうち、産業界での流通・使用量が少ない希少なものを指します。
学術的な定義などはなく、国際的にも共通の規定などはありませんが、日本では31品目47元素がレアメタルとして指定されています。
レアメタルが希少である理由としては、地殻中の存在量が少なく採掘コストがかかる点、単体として取り出すのが困難である点、製錬コストが高いことなどが挙げられます。
レアメタルの主な産出国は、中国・アフリカ諸国・ロシア・南北アメリカといった、経済的・政情的不安が比較的高い国であるため、安定した供給ルートの確保やリサイクル技術の発展が求められています。
レアメタルは、主に鉄・銅・アルミニウムのようなベースメタルに添加して強度の高く錆びにくい合金を作ったり、半導体レーザーや発光ダイオード、燃料電池などの電子・磁性などの材料に利用されたりするほか、工学ガラスやフッ素ガラス、磁気ヘッド、蛍光体などの機能性材料としても使われます。
レアメタルは、ベースメタルや貴金属のように価格の透明性が確保されておらず、経済紙・金属専門雑誌・webサイトなどに流通価格情報が掲載されています。
■レアアース■
「希土類」と訳されるレアアースは、元素周期表の3族に属している元素の呼称です。
具体的に言えば、レアアースは、原子番号21番のスカンジウム、39番のイットリウム、57番のランタンから71番のルテジウムまでの合計17元素を指しています。つまり、希少な金属という意味ではレアメタルの一部に含まれるわけです。
レアアースがレア(希少)とされるのは、埋蔵量の少なさではなく、分離・精製が困難であるためです。埋蔵量について言えば、亜鉛などとかわらないとされています。
レアメタル、レアメタルはともに、電子部品などの性能をアップさせるために用いられますが、レアメタルは存在自体が「レア」であり、レアアースは遭遇率がレアであるという点に、両者の違いがあると言えるでしょう。
レアアース(希土類)とレアメタル(希少金属)の違い、レアアースの価格、産出国の埋蔵量と輸出規制、日本におけるレアアース備蓄の現状などについて詳しく解説します。
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日本のレアアース備蓄量が企業活動に及ぼす影響について
日本国内では、発光ダイオード・液晶ガラス・光ディスク・蓄電池・磁石などのエレクトロニクス製品の性能を向上させる目的で、レアアースが広範に利用されています。
その結果、日本のレアアースの需要は世界の半分を占めるに至りました。
現在使われているレアアースの大半は中国からの風化花崗岩の輸入に頼っているのが現状です。そのため、中国の政情・経済・国交などの不安定さから生じるリスクを避けるべく、インド・ベトナム・オーストラリアなどからの生産プロジェクト(元素戦略)を開始しています。
これまでは輸入の大半を中国に頼っていたことで、中国の国勢や対外政策のためにレアアース不足に陥ることが心配されてきました。
しかしながら、最近の研究では、日本国内にもマンガン鉱床に花崗岩よりも高い割合でレアアースが含まれていること、火力発電所などから排出される石炭や石油の灰にもレアアースが含まれていること、太平洋海底に陸上の約1000倍ものレアアースの鉱床があることなどが明らかになってきました。
こうした研究成果は、レアアース不足の不安を解消させる手段として、今大きな注目を集めています。
現在、中国は資源や環境の保護を理由としてレアアースなどの鉱物資源の生産・輸出量を制限していますが、輸出に対して生産を制限する規制が甘く設けられており、外国企業に不利だとされ、WTO(世界貿易機関)は、この点を協定違反だと指摘しています。
レアアースの輸出制限については、まだWTOによる指摘を受けていませんが、今後アメリカによって提訴されるのではないかとの予測もなされているようです。
日本企業の中には、中国を原産とするレアアースの安定的供給を図るため、中国国内に工場を設立しようと計画しているところもあります。
その結果、日本のレアアースの需要は世界の半分を占めるに至りました。
現在使われているレアアースの大半は中国からの風化花崗岩の輸入に頼っているのが現状です。そのため、中国の政情・経済・国交などの不安定さから生じるリスクを避けるべく、インド・ベトナム・オーストラリアなどからの生産プロジェクト(元素戦略)を開始しています。
これまでは輸入の大半を中国に頼っていたことで、中国の国勢や対外政策のためにレアアース不足に陥ることが心配されてきました。
しかしながら、最近の研究では、日本国内にもマンガン鉱床に花崗岩よりも高い割合でレアアースが含まれていること、火力発電所などから排出される石炭や石油の灰にもレアアースが含まれていること、太平洋海底に陸上の約1000倍ものレアアースの鉱床があることなどが明らかになってきました。
こうした研究成果は、レアアース不足の不安を解消させる手段として、今大きな注目を集めています。
現在、中国は資源や環境の保護を理由としてレアアースなどの鉱物資源の生産・輸出量を制限していますが、輸出に対して生産を制限する規制が甘く設けられており、外国企業に不利だとされ、WTO(世界貿易機関)は、この点を協定違反だと指摘しています。
レアアースの輸出制限については、まだWTOによる指摘を受けていませんが、今後アメリカによって提訴されるのではないかとの予測もなされているようです。
日本企業の中には、中国を原産とするレアアースの安定的供給を図るため、中国国内に工場を設立しようと計画しているところもあります。
産出国のレアアース埋蔵量の最新データ
現在、中国が世界各国の9割以上のレアアースを産出していますが、そのすべては、モンゴルとの国境近くにある「バイユンオボ鉱床」から産出されています。
圧倒的なレアアース埋蔵量を誇るバイユンオボ鉱床は、鉱質が地表に露出している状態で採掘コストがかからず、レアアースを他の鉱床より安く販売することができるため、レアアースの価格を大幅に下げ、世界各国のレアアース鉱床を休止や採掘量削減に追い込みました。
つまり、レアアースのほとんどが中国に埋蔵されているのではなく、世界各国に鉱床は存在しているということになります。
2011年にUSGS(米地質調査所)によって確認された世界各地のレアアース埋蔵量は以下の通りです。
この他の地域を合計すると、世界中のレアアースの埋蔵量は約1億1000万トンに上ると推測されます。
これに加えて、今年7月には、東京大学の研究チームが、太平洋の海底に地上の約800倍から1000倍に相当する約1000億トンものレアアースが埋蔵されていることを突き止めました。
この埋蔵量は、サンプリング地点1平方kmの推定埋蔵量が世界の年間消費量の5分の1に相当することからはじき出されました。
これらの埋蔵レアアースを商業ベースで採掘することができるかどうかについては、まだ研究の余地がありますが、現在、新たなレアアース供給源として、たいへん大きな注目を集めています。
圧倒的なレアアース埋蔵量を誇るバイユンオボ鉱床は、鉱質が地表に露出している状態で採掘コストがかからず、レアアースを他の鉱床より安く販売することができるため、レアアースの価格を大幅に下げ、世界各国のレアアース鉱床を休止や採掘量削減に追い込みました。
つまり、レアアースのほとんどが中国に埋蔵されているのではなく、世界各国に鉱床は存在しているということになります。
2011年にUSGS(米地質調査所)によって確認された世界各地のレアアース埋蔵量は以下の通りです。
- 中国:約5500万トン
- CIS諸国:約1900万トン
- アメリカ:約1300万トン
- インド:約310万トン
- オーストラリア:約160万トン
この他の地域を合計すると、世界中のレアアースの埋蔵量は約1億1000万トンに上ると推測されます。
これに加えて、今年7月には、東京大学の研究チームが、太平洋の海底に地上の約800倍から1000倍に相当する約1000億トンものレアアースが埋蔵されていることを突き止めました。
この埋蔵量は、サンプリング地点1平方kmの推定埋蔵量が世界の年間消費量の5分の1に相当することからはじき出されました。
これらの埋蔵レアアースを商業ベースで採掘することができるかどうかについては、まだ研究の余地がありますが、現在、新たなレアアース供給源として、たいへん大きな注目を集めています。
レアアースの取引価格の最新動向を探る
レアメタルの価格は、「Metal Bulletin」や「Metal week」などの雑誌やwebサイトなどの掲載価格が指標として用いられているものの、レアアースの価格を決定させる国際的な機構は、まだ存在しません。
従って、レアアースの価格は、実際の取引の場では需要と供給の動向をみて双方の相対取引で決定されています。
レアアースは、レアアース市場に中国が参入し、安価で乱売を行うようになる前は、アメリカなどの限られた生産者のもとで安定した価格で提供されていました。
しかし、中国がコストのかからない採掘によってレアアースを安価で提供するようになったことが他の生産者に打撃を与え、中国がレアアース市場の9割を占め、レアアースの価格は低迷するようになったのです。
2000年代には、中国が環境問題を理由に生産・輸出の規制を強化したことや、ITバブル期に入ったことで、レアアースの価格はいったん上昇したものの、続くIT不況によって価格は再び下落することになりました。
その後、レアアースの価格は再び上昇し、一部の海外メディアが、中国政府による価格操作の可能性を指摘したこともありました。
その際、中国工業情報化部の報道官は、価格の上昇について、「資源の消耗を無視した乱開発当時の価格水準から、本来の価格水準に戻ったにすぎない」説明しています。
現在も、レアアースの価格は、中国の環境問題対策や、国内需要を優先させる政策に大きく左右されており、レアアース価格を把握するためには、中国の動向に常に注目する必要があります。
レアアースを安定した価格で入手し続けるためには、リサイクル技術の発達、中国以外の国での供給源確保、新たな鉱山開発プロジェクトへの着手といった対策を早急に講じる必要があります。
従って、レアアースの価格は、実際の取引の場では需要と供給の動向をみて双方の相対取引で決定されています。
レアアースは、レアアース市場に中国が参入し、安価で乱売を行うようになる前は、アメリカなどの限られた生産者のもとで安定した価格で提供されていました。
しかし、中国がコストのかからない採掘によってレアアースを安価で提供するようになったことが他の生産者に打撃を与え、中国がレアアース市場の9割を占め、レアアースの価格は低迷するようになったのです。
2000年代には、中国が環境問題を理由に生産・輸出の規制を強化したことや、ITバブル期に入ったことで、レアアースの価格はいったん上昇したものの、続くIT不況によって価格は再び下落することになりました。
その後、レアアースの価格は再び上昇し、一部の海外メディアが、中国政府による価格操作の可能性を指摘したこともありました。
その際、中国工業情報化部の報道官は、価格の上昇について、「資源の消耗を無視した乱開発当時の価格水準から、本来の価格水準に戻ったにすぎない」説明しています。
現在も、レアアースの価格は、中国の環境問題対策や、国内需要を優先させる政策に大きく左右されており、レアアース価格を把握するためには、中国の動向に常に注目する必要があります。
レアアースを安定した価格で入手し続けるためには、リサイクル技術の発達、中国以外の国での供給源確保、新たな鉱山開発プロジェクトへの着手といった対策を早急に講じる必要があります。
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