日本国内では、発光ダイオード・液晶ガラス・光ディスク・蓄電池・磁石などのエレクトロニクス製品の性能を向上させる目的で、レアアースが広範に利用されています。
その結果、日本のレアアースの需要は世界の半分を占めるに至りました。
現在使われているレアアースの大半は中国からの風化花崗岩の輸入に頼っているのが現状です。そのため、中国の政情・経済・国交などの不安定さから生じるリスクを避けるべく、インド・ベトナム・オーストラリアなどからの生産プロジェクト(元素戦略)を開始しています。
これまでは輸入の大半を中国に頼っていたことで、中国の国勢や対外政策のためにレアアース不足に陥ることが心配されてきました。
しかしながら、最近の研究では、日本国内にもマンガン鉱床に花崗岩よりも高い割合でレアアースが含まれていること、火力発電所などから排出される石炭や石油の灰にもレアアースが含まれていること、太平洋海底に陸上の約1000倍ものレアアースの鉱床があることなどが明らかになってきました。
こうした研究成果は、レアアース不足の不安を解消させる手段として、今大きな注目を集めています。
現在、中国は資源や環境の保護を理由としてレアアースなどの鉱物資源の生産・輸出量を制限していますが、輸出に対して生産を制限する規制が甘く設けられており、外国企業に不利だとされ、WTO(世界貿易機関)は、この点を協定違反だと指摘しています。
レアアースの輸出制限については、まだWTOによる指摘を受けていませんが、今後アメリカによって提訴されるのではないかとの予測もなされているようです。
日本企業の中には、中国を原産とするレアアースの安定的供給を図るため、中国国内に工場を設立しようと計画しているところもあります。